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2009のFlash雑感

Fladdictなんだから、一年の頭の話はやっぱりFlashで。

というわけで、年始恒例の今年一年の予想デス。 今年の懸念事項を全部書いたので、超長文です。読みたい人だけどうぞ。
個人的な予想精度としては7割ぐらいかと。

  • Flashそのものについて
  • Flashの課題
  • AIRについて
  • 広告コンテンツについて
  • 製作者として
  • この先




Flashそのものについて
リーマンショックがAdobeを直撃。 実は主収入がPhotoshopと見せかけてPDFで、エンタープライズなAdobeとしては現在の盤面はだいぶ厳しそうです。一昨年前からスゴイ勢いでAdobe labsが実験プロジェクトを出しましたが、今年は色々と統廃合が起こりそう。

数年前から言われていた、Apple, Gooleとのプラットフォーム戦争がいよいよ本格化。しかしAdobeは出遅れている感があります。 もっともFlashの本領は、環境が細分化されカオスになってからなので、今はまだチャンスを狙っている段階なのかもしれません。

プラットフォーム戦争的には、AndroidへのFlashの搭載を足場に、iPhoneにもねじ込んでもらいたいところ。一方のAppleはビジネスモデル的な死活問題として、搭載はなんとか回避したい。基本的につっぱねるAppleに対し、世論で圧力をかけられるかどうかが鍵ですね。 今年のMacWorld、Adobeは出展しないので、サプライズ搭載はなさそうです。


Flashの課題
今年のFlashの課題は、非PC系のウェブ再生環境の細分化です。ネットブックやiPhoneなど性能差の激しい無数のデバイスを如何に吸収できるかでしょう。

ブラウザ差異の吸収で不動の座を得たFlashですが、今回はHTML5という強力な標準が背後にせまりつつあります。ここで失敗すると、リッチコンテンツはビデオとHTML5の複合という方向に大きく変化するでしょう。ActionScript3のECMA標準失敗という、政治的にな先制攻撃をくらったAdobeがどうこの状況を切り抜けるかがキモになりそうです。


AIRについて
プラットフォーム戦略の主役でありながら、イマイチ不発弾気味なAIR。 僕はAIRの現状は、Adobeがマイクロペイメントと流通システムを用意しなかったことに起因すると考えています。

表立って議論されてませんがApple, Google, MS, Amazonと、実はAdobe以外の全てのプラットフォームプレイヤーは、コンテンツのディストリビューションの仕組みを自前で持っています。。 たとえAIRのアプリを作っても、個人開発者も中小企業もそれを世界レベルのビジネスにすることができないんですよね。 

歴史的にみて、Flashコンテンツを有料で配信するという観点がAdobeになかったのは仕方がないことかもしれません。しかし配信システムとビジネスモデルが用意されたプラットフォームと、ベンダーが自前で0から開拓からしなければならないプラットフォームがある場合、この後者が前者と互角の戦いをするというのは難しいのではないかとかんがています。開発者の囲い込みができません。

おそらくは広告モデル等によるベンダーの自給自足を期待していたのでしょうが、このアプローチはリーマンショック以降の広告業界の落ち込みが大きな逆風となりそうです。


広告コンテンツについて
くるぞくるぞと一昨年から吼えていたサブプライムが見事直撃。今年のキャンペーンサイトはだいぶ少なめ & ディフェンシブな感じになるのではないでしょうか。

いよいよ効果測定推進派との熾烈な対決が始まりそうです。 効果測定の数字に反証できるほどの成果を出せない限り、このご時勢、フルフラッシュのお祭りサイトは激減するのではないかと思います。Flasher的にはしばらくは企業サイト系に疎開する感じではないでしょうか。


製作者として
仕事でバリバリ第一線で活躍している人は、自給自足でいけると思うので省略。
もっとプライベートなFlasherの話を。

2ch系以下、国内の野良Flashコンテンツの盛り上がりは、火葬どころか49日まで終了した印象。

もう今後はスクリプトできて、絵書いて、演出もする、マルチな野良Flasherはほぼ出てこないと思います。 そういう人はIAMASやSFCみたいなアカデミック系から稀に出るぐらいでしょうか。若い作り手は、完全にニコニコ動画に吸収されたと認識しています。

AIRの項でも書きましたが、個人製作者を囲い込む最大のファクターは、結局はツールの機能ではありません。それは露出機会と配信システムの有無だと思います。この点においてFlashコンテンツはインターネットの口コミに頼りすぎた感があります。一方でニコニコとPixivはそのニーズを抑えて、作者を大量に吸収し急成長した感じですね。

仕事におけるFlashの製作は、より専門色を強め、ますます実装屋とアートディレクターの分業制になっていくと思います。 全部できる単機要塞攻略兵器みたいな超人プレイヤーは、ほんの一握り以外はいなくなると思います。 1人で全てをやるには商業のFlashコンテンツは巨大化、複雑化しすぎました。

後に続く若手プレイヤーを誰も育てず、また育てる土壌がない、そして成功神話もほぼ存在しないので、情熱だけを頼りに個人で面白Flashコンテンツを作る、みたいな文化は今の20代中盤の人を境にそろそろ終了かなと思います。それ以下の世代にとって成功神話としてリアリティがあるのは、ニコニコ動画からCDをリリースしたとか、作ってみたものが製品化されたとか、PIXIVデビューで画集を出したとか、そういうことになっていくんじゃないかなと。




この先
たぶん仕事としてのFlashは、一定水準以上の人はまったく問題がないと思います。 そういう意味での不安はまだとくにないかと。

一方で職種としてはマジョリティは実装職人的な人が多くなり、万能プレイヤーみたいな人は超稀少になるかと。 業種としてウェブ広告の花形(?)的ポジションではなくなってくのではないかと思います。

なんか暗い予想が多すぎですが、FlashがどうAdobeがどうというよりも社会環境が悪すぎます。プラットフォーム戦争、デバイス性能の細分化、配信システムによる若手製作者の囲い込み、世界不況と、ゲーム環境がFlasherに不利な不安定要因で満たされている感じです。今年は試練の年になるのではないでしょうか。

個人的には、こういうタイミングでこそAdobeがクリエイター To コンシューマーな、コンテンツの流通配信システムを普及させるといいのではと思います。流通システムさえ確保できれば、自分の才覚で世界を相手にするような作家性のあるFlasherが復活して面白いと思うのですが、どうなんでしょうね。 というか、過去のFlash文化みたいをの維持していく為にはAdobe AppStoreがすごい必要なんじゃないかと思うわけです。 デスクトップは流石にもう無理かな・・・モバイルやデバイス系でそういうのがでるかどうかで、来年以降のFlasherは大分、人生計画が変わるんじゃないかと。


というわけでfladdict的には2009年は「逆風」、色々と試行錯誤や模索をしつつ来年以降に備えて、リスクヘッジや模索する年かな、という結論。
個人的にはAdobe AppStoreが出るかどうか、というのがひとつのベンチマークになると思っています。

おそらく反論、異論その他もろもろ、すげぇいっぱいあると思うので、ほかの人の意見を知りたいデス。