Appleによる連邦通信委員会への回答 を翻訳してみた
AppStoreの不透明な審査について、連邦通信委員会が質問状をだした件について、Appleが正式な回答を提出したもよう。僕のToyCamera等も不思議リジェクトは受けたことがあり、大分興味深い内容だったので、空き時間にポメラでちょっと翻訳してみた。読みやすいように大分意訳はしているけど、意味は変えてないはず 。
以下、本文
Appleによる連邦通信委員会への回答
本日、AppleはFCCの以下の質問に対する返答を提出した
我々は、2009年7月31日付けの無線通信局からの問い合わせ、即ちAppleのAppStoreとその承認プロセスに関する情報請求に対して喜んで対応したい。通信局に対し、我々の返答のコンテクストを説明する為に、まずはiPhoneとAppStoreのバックグラウンドとなる情報から説明をする。
Appleの目指すものは、顧客に対し最高のユーザー・イクスペリエンスを提供することである。我々はこの目的を、自社製品のハードウェアとソフトウェアが、緊密に連携するようにデザインすることで達成した。iPhoneはその優れた実例の1つである。iPhoneは「携帯デバイスがどうあるべきか?」、即ちデバイスと電話の連携、フルブラウザ、HTMLメール、iPod等(これらは全てAppleの革新的なマルチタッチ・インターフェースで提供されている)に対して、新しいスタンダードを打ち立てた。
そしてAppleは、革新的なiPhoneテクノロジから更なる機能性と利便性をユーザーに届けるまったく新しい手段、AppStoreを導入した。このAppStoreは誰も想像が想像もしない成功をおさめている。開始からまだ1年強しかたっていない今日で、AppStoreは65,00個以上のiPhone用アプリを提供し、ユーザーによるダウンロード回数は15億を超えている。
AppStoreは、インディーズと大手のモバイル・ディベロッパが公平に競争できる、摩擦のない配信ネットワークを提供している。また我々は、自社のアプリ開発に使用しているものと同一のソフトウェアを、全ての開発者達に提供している。AppStoreは、開発者達が自身で値段を決めることができ、既存のビジネスモデルよりも多くの収入(往々にして最高額を得られる)、革新的なビジネスモデルを提供している。我々は、規模と品質の両面においてユーザーのリッチ・モバイル・エクスペリエンスを、一年強の期間で誰もが想像しなかったほどの水準に引き上げた。他の企業(Nokia、MicroSoft、RIM、Palm、Version等)が自社プラットフォームの開発者を募集し、アプリケーション・ストアを立ち上げるといったような競争すら、Appleのイノベーションにより促進された。
Appleは、iPhoneのユーザが携帯電話網にアクセスできるよう、世界中のネットワーク・プロバイダにも働きかけた。アメリカでは、2006年にAT&Tとの間に、どのようなアプリケーションをiPhoneで使用可能とするかをAppleが決定できるという、画期的な契約を結んだ。これは業界初のことである。
我々は、ユーザーのプライバシーを守り、子供達を不適切なコンテンツを保護し、そしてiPhoneのコア・イクスペリエンスを低引き下げるアプリケーションを拒否すべく、AppStore用に提出された全てのアプリケーションを審査する承認プロセスを生み出した。例えばポルノのような、一部のタイプのコンテンツはAppStoreでは明確に拒否されている。一方でアクションゲームにおけるグラフィカルな戦闘描写のようなものは、年齢のレーティングによって承認されるかもしれない。却下の大半はアプリケーションのバグが原因である。何か問題がある場合、開発者がアプリケーションを修正し審査をパスできるよう、我々は開発者に対し親切なフィードバックをを行おうと努力してきた。95%のアプリケーションは、提出から14日以内に承認されている。
我々は、まったく新しい分野を扱っており、かつて誰も挑戦したことのないことをしている。我々が直面する多くの事柄は、難しく新しいものであり、たとえ時に間違いを犯しても、我々はそこから学び継続的に改善していくよう試みている。
あなた方の詳細な質問に答えるべく、我々は以下の回答をしたい。
質問1: 何故Appleは、iPhone用のGoogle Voiceが拒否し、関連するサードパーティのアプリケーションをストアから削除したのか? Google Voiceだけでなく、どのサードパーティアプリケーションがストアから削除され、審査にて拒否されたのか? 具体的なアプリケーション名と、その開発者への連絡先を提供してください。
提出された質問とは異なり、AppleはGoogle Voiceアプリケーションを拒否はしておらず、継続してこのアプリケーションを審査中である(訳注:マイコミジャーナルはstudyという単語を「Google Voice問題を調査継続中」とも取れるニュアンスで訳しているが、当文章の複数箇所で使われるstudyが意味するものはアプリケーションの審査が妥当と思われる)。このアプリケーションは未だ承認がおりていないが、それは審査に提出されたものが、iPhoneのコアとなる電話機能とAppleのユーザー・インターフェースを、Google Voice独自の電話、テキストメッセージ、ボイスメールのインターフェースが置き換えてしまい、iPhone独特のユーザー・イクスペリエンスを変質させるのではないかと考えられている為である。
iPhoneのコア機能をスムーズに提供する、独特で革新的な方法を開発する為に、Appleは多大な時間と努力をついやした。例えば、ホーム画面の下部に常に表示さる”電話”アイコンは、お気に入りや履歴、コンタクトやキーパッド、ビジュアル・ボイスメール等を備えたAppleの携帯電話アプリケーションを起動する。Google Voiceのアプリケーションは、ボイスメールを別個に保存する独自Google Voice用の電話番号にルーティングし、iPhone内でボイスメールを保存することを妨害、つまりiPhoneのビジュアル・ボイスメールを無効化することで、これを置き換えてしまう。同様にSMSのテキスト・メッセージもGoogleのハブによって管理され、iPhoneのテキストメッセージの機能を置き換えてしまう。さらに、iPhoneユーザーの連絡用データベースはGoogleのサーバに転送されるが、我々はそのデータが適切な目的のみに利用されるという確約を、Googleから未だ得ていない。これらの要素は、我々が現在まだ保留している、いくつかの新しい事柄と疑問点を浮き彫りにしている(訳注:presentに関する適切な語が無いため、ここでは「浮き彫りにする」という表現を使用)。
以下のアプリケーションは、同様のケースに含まれる。
• Name: GVDialer / GVDialer Lite
Developer: MobileMax
info@mobile-mx.com
• Name: VoiceCentral
Developer: Riverturn, Inc.
4819 Emperor Blvd., Suite 400
Durham, NC 27703
• Name: GV Mobile / GV Mobile Free
Developer: Sean Kovacs
sean@seankovacs.com
我々は継続的にGoogle Voiceと、それがiPhoneのユーザー・イクスペリエンスに与える潜在的なインパクトを調査している。もちろんGoogleは、彼らがデスクトップPCで行っているように、Google VoiceをSafari上のウェブアプリケーションとして自由に提供できるし、Androidベースの携帯電話などの他の携帯において「Googleブランド」のユーザーインターフェスを提供し、消費者にその判断を委ねることができる。
質問2: Google Voiceおよび関連するアプリケーションの拒否において、Appleの独断か?あるいはAT&Tとの協議の上で行ったのか?後者の場合は、AppleとAT&Tの間で行われた、Google Voiceの拒否決定と関連したやりとりの内容を述べてください。この件についてのAppleの意思決定に影響する、AT&Tとの契約条件、あるいは暗黙の了解はあるか?
Appleは独自に活動をしており、Google Voiceアプリケーションの承認可否に関する、AT&Tとの協議は行われていない。この件に関するAppleの意思決定に影響するAT&Tとの契約条件や暗黙の了解は存在しない。
質問3:通常(あるいは特殊なケース)において、AT&TはiPhoneアプリケーションの審査において何かしらの役割を担っているか? もしそうであるならば、どのような状況において、どういった役割を果たすのか? 特定のiPhoneアプリケーションを考慮する場合において、AppleとAT&Tとの間の契約条項(および暗黙の了解)では、どのような役割が指定されているか?
Appleのみが、どのアプリケーションを承認し、どれを拒否するのかの、最終決定を下している。
「顧客がAT&Tの許可なしに、AT&Tの携帯電話網を使ってVoIPのセッションの着信、受信を行える機能を、Appleは全てのApple製の電話に含まないようにする義務を負う」という、AppleがAT&Tに同意した条項がある(訳注:鍵括弧は訳者によるもの)。Appleはこの義務を遵守し、加えてAT&Tの顧客サービス規約、例えばAT&Tの顧客が同社の携帯サービスをTV信号をiPhoneに転送することに利用するのを禁じている点、等に配慮を払っている。時折、AT&Tは特定のアプリケーションに関するネットワークの効率性と混雑に懸念を表明し、Appleはそのような懸念を考慮にいれている。
質問4:Google Voice のiPhoneアプリケーションと、AppleがiPhone上で承認した他のVoice over Internet Protocol(VoIP)アプリケーションとの違いを説明してください。AT&Tの3G回線を使用できるVoIPアプリケーションで許可されているものはありますか?
Appleは、Google Voice アプリケーションの電話やメッセージの用法にVoIPの要素がある、あるいはVoIP技術が3Gネットワーク上で使用されている、とは認識していない。AppleはWiFiを利用する数多くのスタンダードなVoIPアプリケーション(SkypeやNimbuzz、iCall等)を承認してきたが、AT&Tの3G回線を用いるものはない。
質問5:他にはどのようなアプリケーションが、どのような理由でiPhoneでの利用を拒否されてきたか? 潜在的な開発者やベンダーに提供されている、禁止されているアプリケーションやカテゴリのリストは存在しますか? 存在する場合、そのようなリストはiTunesのサイトに掲載されていたり、消費者に明示されていますか?
1年強で、App Storeは65,000以上のアプリケーションの存在する世界で最大のワイアレス・アプリケーション・ストアに成長した。我々は様々な理由でアプリケーションを却下している。最大の却下理由はアプリケーションの品質かバグに起因しており、その他には顧客のプライバシーを守るためや、子供の不適切なコンテンツからの保護、iPhoneのコア・イクスペリエンスを低下させるアプリケーションを防ぐために却下される。審査プロセスには様々な規模と種類の問題があるが、プロセスの大半は品質とバグ、そして開発者がアプリケーションを修正できるようにフィードバックを提供することに費やされる(訳注:分詞構文によって省略された主語をreview processと仮定)。問題点を修正し、再提出されたアプリケーションは許可される。
以下は、かつて却下された特徴的なアプリケーションの、当初提出された状態と現在の状態を記したリストである。
・Stone Design CorpによるTwittelatorは、当初ロード中にクラッシュする理由によって拒否されていたが、開発者はその後アプリケーションを修正し、許可された。
・iCloseBy LLCによるiLoveWiFi! は、アンドキュメントなアプリケーション・プロトコル(訳注:アンドキュメントAPIの事と思われる)の使用により却下された(このアプリケーションはその通知後、再提出されていない)。
・Sling MediaのSlingPlayer Mobileは、当初AT&Tの3G回線を用いてTV信号をiPhoneに転送していたが、その行為はAT&Tが利用規約で禁止されていた為に拒否された。開発者はその後、アプリケーションをWiFi専用にし、許可された。
・On The Go Girls, LLCによるLingerie Fantasy Video(Lite)は、当初ヌードとあからさまな性的なコンテンツを表示していたため拒否されたが、開発者はその後アプリケーションを修正し、17+の使用レーティングにより許可された。
AppleはiPhone開発者との同意書にて、禁止されたカテゴリーに関する明確な定義を提供している。例としては
“Applications may be rejected if they contain content or materials of any kind (text, graphics, images, photographs, sounds, etc.) that in Apple’s reasonable judgment may be found objectionable, for example, materials that may be considered obscene, pornographic, or defamatory; and
Applications must not contain any malware, malicious or harmful code, program, or other internal component (e.g. computer viruses, trojan horses, ‘backdoors’) which could damage, destroy, or adversely affect other software, firmware, hardware, data, systems, services, or networks.” (訳注:規約の引用に関しては正確性を優先し、原文ママ)
また、我々は、iPhone開発者のメンバーがアクセス可能な、ベスト・プラクティスや入門といった有益な情報をリスト化したリファレンス・ライブラリを提供している。
質問6 iPhoneアプリケーションを承認や検討する上での基準は何か? このような(訳注:Google Voiceか?)アプリケーションの承認プロセス(タイミング、拒否の理由、控訴プロセス等)はどのようなものか? 拒否されるアプリケーションの割合はどれくらいか? アプリケーションが拒否される主な理由は何か?
質問5への返答で論じられたように、Appleは開発者に対し、webサイトと同じく同意書においてもアプリケーションの禁止カテゴリーに関するガイドラインを提供している。これらは同様に、技術的および法的な、アプリケーションが遵守すべき必須条件に関する多くの条項を含んでおり、Appleはこれらの基準をアプリケーション承認の可否を考慮するうえで用いている。
Appleは同社に提出された全てのiPhoneアプリケーションをチェックする総合的な審査プロセスを開発した。アプリケーションとマーケッティング・テキスト(訳注:ストアでの説明文と思われる)は、webインターフェースと通じて提出される。提出されたアプリケーションは、ソフトウェアのバグによる脆弱製や、iPhone上での安定性、不正なプロトコルの使用など厳格な審査プロセスをうける。アプリケーションは同様にプライバシーの問題や、不適切なコンテンツの露出から子供を保護する為、そしてiPhoneのコア・イクスペリエンスを低下させるアプリかどうかも審査される。40人以上のフルタイムの審査員がおり、審査プロセスが一様となるようにそれぞれのアプリケーションに対して最低2人の審査員が調査を行う。またAppleはApp Storeに、手続きを決定し、審査プロセスの方針を決定する為にエグゼクティブによる審査会議を設けている。またこの会議では、新たな、あるいは複雑な問題を生じた為に上層陣の判断に送られたアプリケーションが審査される(訳注:この部分は構造が長く複雑である為、意訳および2つの文に分割した)。審査会議は毎週開催され、AppStoreを担当するシニアマネージャ達によって構成されている。アプリケーションの95%は提出から14日以内に承認されている。
もしアプリケーションに問題がある場合、例えば、アプリケーションをクラッシュさせるバグがあった場合、我々は開発者に、何故提出されたアプリケーションが承認されないのかを記した通知を送る。多くの場合、我々はそのアプリケーションをどのように修正すべきかの、個別のガイダンスを提供できている。同様に我々は彼らに、アプリの審査チームやテクニカルサポートにコンタクトを取ったり、今後の指示を仰ぐこともできることを教えている。
Appleは通常、アプリケーションの機能が正しく動作するか確認し、開発者に品質的な問題とバグの修正を働きかけることに、審査期間の大半を費やしている。我々は毎週8500個におよぶ新しいアプリケーションとアップデートを受け取っており、そのうちのおよそ20%は当初提出された状態では承認できない。わずか1年強で、我々は200,000個のアプリケーションとアップデートを審査している。
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以上、誤訳や誤植の指摘に関しては、お気軽にコメント欄でお願いします。
2009 年 8 月 23 日 12:11 AM
おお、この翻訳文は有り難し。
長文お疲れさまです。
2009 年 8 月 23 日 7:01 AM
[...] fladdict » Appleによる連邦通信委員会への回答 を翻訳してみたをよんだ。アップルがこういう回答を公開してくれるのはうれしい。 [...]
2009 年 8 月 23 日 10:28 AM
翻訳おつかれさまです。
承認プロセスの具体的な数字がでてるのが興味深い!
審査通りづらいとよく聞くけれど、8割はそのまま通ってるんですね。
2009 年 8 月 23 日 12:54 PM
非常にわかりやすい訳文で重要な内容が理解できました。ありがとうございました。
一点タイプミスを指摘しておきます。「禁止されたカテゴリーに関す”売”る」
2009 年 8 月 23 日 5:53 PM
翻訳文大変参考になりました。今回の問題におけるAppleの考え方をかいま見る事が出来ました。ありがとうございました。
2009 年 8 月 28 日 12:16 PM
お疲れさまです。非常にありがたいです。
目についた誤植を列挙します。
「誰も想像が想像もしない」→誰もが想像もしない?
「AppStoreは65,00個以上の」→65,000?
「他の企業(Nokia、MicroSoft、RIM、Palm、Version等)」→Verison?
「コア・イクスペリエンスを低引き下げる」→低下させる? 引き下げる?
「ユーザーインターフェス」→ユーザーインターフェース
「脆弱製」→脆弱性
2010 年 2 月 6 日 9:55 PM
[...] http://fladdict.net/blog/2009/08/apple-to-fcc.html [...]
2010 年 2 月 28 日 3:34 PM
[...] http://fladdict.net/blog/2009/08/apple-to-fcc.html iPhone3GSから送信 [...]