Appleの弱点と、対抗プレイヤーの取るべき戦略メモ
Appleの全ての戦略は、iTunesを起点とした囲い込みをコアとする。この囲い込み戦略については5年前の予測エントリが、現状をあらわしていると思う。
この領域にて先行者利益を得ているAppleに対し、対抗プレイヤーが純粋に端末や、囲い込み戦略のコピーで戦うことは難しい。
Appleの土俵で勝負をするな
よって対抗プレイヤーがすべきことは、Appleの土俵上にて同じルールで戦うことではない。 Appleの戦略がアドバンテージを失うように、市場のルールとトレンドを変更することだ。 その為にはどうすべきか? ー Appleの戦略の起点がiTunesである以上、iTunesがイノベーションのジレンマにそのものになるよう、ルールを変更することができれば、Appleの支配体制は崩壊する。
商品を模倣するのではなく、攻め方を模倣する
実は、これはAppleがいままでやってきたアプローチそのものである。
Appleの基本的アプローチは、十分に成熟した市場をレガシー呼ばわりし、その分野のしがらみを超える商品をぶつけてルールを変更し、競合を実際にレガシーにおとしめてしまうことである。
Appleから模倣すべきはiPhoneやiTunesといったAppleの表層の事象ではなく、競合の主力商品がイノベーションのジレンマになるように市場のルールを変更していくという、アプローチそのものであろう。
どのようにして、iTunesをレガシーに変えるか?
現状で現実的な戦略は、企業をまたがったマルチデバイス上でのデータシンク・プロトコルの開発だろう。 イメージとしてはCalDavなどが近い。もちろんそれを作るだけでなく、みんながちゃんと採用しなければ意味がない。
重要なのは、この国際規格のデータシンクの基盤に、「双方向のシンク」をいれることである。オープンなデータ同期プロトコルが主流になれば、iTunesはその優位性を完全に失う。 Appleがそれを受け入れればiTunesは囲い込みが不可能になり、拒否をすれば世界vsAppleのスケール差の構造になるからである。
音楽、ビデオ、電子ブックにおいて、会社やデバイスに依存しない、マルチデバイスのデータシンクが可能になれば、iTunesという要塞は水攻めにあったも同然となる。世界共通のフォーマットを作るのは、一見難しそうに見えるかもしれない。だが、マルチデバイスのデータプロトコルなど、FlashやAndroidが目指しているマルチデバイスのアプリケーションに比べれば、遥かに簡単なはずである。こんな簡単なことでAppleの支配体制は崩壊する。
Appleの射程外から攻める
最大のポイントは、この戦略が行われた場合、Appleが阻止するのは非常に難しいということだ。なぜならば全てはAppleの囲い込みの外側で起こるからである。すべてが外で進行する以上、iPhoneアプリのようにブロックをすることはできない。
というわけでFlash CS6と次のAndroidへのリクエストは、オープンなマルチデバイス間のデータシンク。そしてそれが数行でできるライブラリ。むろんオープンソースのサーバー/母艦側のサポートも必要となる。
そういうフォーマットがデファクトになると、さすがにアップルも態度を変えざるを得なくなる。 Flashをブロックされてfladdictは怒ってるのでちょっと書いてみた。しかるべきことができる人々までエントリが届きますように。
質問等は適当にTwitterで。
2010 年 4 月 16 日 4:53 PM
現在、Appleの戦略が正当化されている理由はただ一点、多くの消費者に受け入れられているから。現在のAppleルールがサードパーティ&アプリ開発者にとって生きにくい世界だからといって、Appleの戦略を超える新しい消費者体験を創りだすことは可能なのだろうか?
消費者に対して最大限のユーザー体験を提供したうえで、サードバーティがアプリを提供できる最大限の余地があることなんだと思います。つまり開発者の都合が先なのではなくて消費者のユーザー体験こそが最大化されるべきだと。
2010 年 4 月 16 日 6:46 PM
Flash CS5はどうなる? 「iPhone OS 4 SDKの規約変更」に関する記事まとめ
先日iPhone OS 4が発表されましたが、それと同時にiPhoneアプリを開発するための規約が変更され、その中には、今夜発表(日本時間で13日0時)が予定されているFlash CS5の目玉機能「Packager for…
2010 年 4 月 16 日 8:21 PM
–Flash CS6と次のAndroidへのリクエストは、オープンなマルチデバイス間のデータシンク–
この時点でAdobeやGoogleも競争力を失いますね。おしい。
2010 年 4 月 16 日 8:47 PM
Flashはオープンな規格ではないので、Appleが
これを排除しHTML5+H.264を推奨するのは
当然の流れだと思いますが。
またFlashはマルチデバイスかもしれませんが、その
パフォーマンスはデバイス間で同等ではありません。
Adobeはこれまで、Mac向けには屑なプラグインばかり
押しつけてきましたよ。(私は長年のMacユーザ)
今でも、Mac雑誌の記事を見る限りでは、例えば
Flash動画再生時のGPU活用度合いについては
MacはWInより低くなっており、相変わらずMacが
Adobeにないがしろにされている事がわかります。
Winが数でMacに勝るからやむ無しだというなら、今回は
それをAppleにやり返されているのでしょう。
また下手にFlash解禁すると、iPhoneに屑なプラグインを
供給し、Androidには性能の良いプラグインを供給する
というような事も出来てしまうわけです。
そういえばAcrobatも同様でしたが、これはOSXで
Apple自身がPDFを扱うようになって改善されましたね。
iPhoneにFlashが載るとしたらこのパターンでしょう。
そういう働きかけはどうですか。
Adpbeが許さないと思いますけど。
2010 年 4 月 16 日 10:05 PM
Flashはもう落ち目でしょう。
Appleは最近「標準」にこだわっていますので、囲い込みとはちょっと違う気がします。
2010 年 4 月 22 日 12:56 PM
恐れ入ります。
定期的に拝見させていただいてます。
心から恐縮ですが、意見を失礼します。
今回の件は、驚いていますが
Flasherではない私には特にFlashの
いわゆる閉め出しに違和感を持っていないんです。
もっと仲良くやってもらいたいとは思うのですが
最近のCEOの発言でポルノ画像見たければアンドロイドフォンを使えば良いとか
子供がアダルトアプリをiPhoneで見ているとか、
ユーザーが不便に感じることをあらかじめ抑制したりとか
ユーザーの安全や便利快適を考えてるようにも思えるんです。
もちろんFlashがあればもっと表現は増えると思いますが
詳しくは分かりませんが、それが原因でユーザーに取って
便利よりも不便が多いと考えれば、解消するまでサポートしないとか
出直してもらいたいとかっていうのは、どの企業も同じだと思っています。
いまのところ、Flashを永久ノンサポートのような発言は出ていないと思いますし。
今のPC業界の現状を見て、オープン・自由がいかに混沌を生み出してきたかを考れば
ある程度の抑止力は必要で、さらに美を追求するAPPLEであれば健全なのかなと思ってしまいます。
仰っていることは理解できますが、その通りになるとまた、混沌の世界がやってきてしまいますよ。
ある程度の規律の中でちょっと閉鎖な日本のような所って問題も多いですけど
それそれで良いと思うんです。
個人的にはFlash好きですが、アドビのサイトに行くとイライラしてしまうのは
アドビの真っ先に取り組むべき改善点だと思います。普通のFlashサイトより遥かに重い。
ながながと貴方の様なお方に意見などと大変失礼いたしました。
2010 年 4 月 23 日 10:00 AM
>Annoさん
ユーザーの体験が最大化されるべき、というのは同意です。
>Stringerさん
データシンクはグーグルにもAdobeにも特にダメージを与えないと思いますよ。
>imoさん
HTML5やH264は別にAppleがオープンとか善意ですすめてるものではないと思いますよ。H264はオープンですらありませんし。
>Futuさん
とりあえず多分に政治レベルの話として、AppleがFlashを閉め出すのは当然ではあると思います。そこには特に疑問はもっておりません。
完全解放しているAndroidが現状グダグダであるように、基本プロプライエタリの独裁体制のほうが品質は高くなるものと思います。
僕がAppleの中の人だったらば、やはり同じ攻め方すると思います。
どちらかというと僕はAppleが憎いというよりは、Appleを追っかけて各プレイヤーがみな中途半端な囲い込み戦略に進む方を危惧しております。
そこを目指すぐらいなら、Appleの戦略が万能の戦略ではなく、リスクもそれなりに抱えていることを示したかったのが、今回のエントリーの主意図です。
2010 年 4 月 24 日 3:04 AM
Flashが再評価される時期にきたのでしょう。
Adobeの無理やりなやり方も正直どうかと思いますし。