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WWDC雑感 その1 ー iADで生計は成り立つのか?

無事WWDCからサンフランシスコから帰宅。ぼちぼちWWDCの基調講演の雑感でもあげていこうかと。
まずは新たなる収入源iADについて。とりあえず、できるだけ中立的に考察してみた。


iADの利益率について
ちまたで流れている説としてはCPC(1回クリック)が$2らしい。 <注:開発者の取り分$2と、出向者の支払いが$2の諸説ありますが、ここでは開発者取り分を$2と仮定)。

市場規模
基調講演で発表された下半期の広告は6,000万ドル。開発者取り分は3600万ドルとなる。

AppStore開設から2年間で開発者に支払われた総額は10億ドル。つまり下半期だけでiPhoneAppの総利益の403.6%にあたる金額が、iADから支払われることになる。

これはローンチ当初の金額なので、場合によっては今年中に10億ドルぐらいあっけなくいってしまうかもしれない。ごめん。

これは市場としては非常に大きい。。。ように見える。

クリックレートで考えると。。。
ところがクリックレートで考えた場合、はどうだろうか?

CPCが$2とした場合、100万円のアプリをプラマイ0でペイさせる為には、5555クリックが必要となる。。この5555クリックを達成する為のクリックレート考える。 ちなみにGoogleのアドセンスでそこそこのクリックレートが1%程度。

ここではiAdのクリックレートがアドセンス並の場合と、遥かに凌駕する10倍である場合を考えてみよう。 CPM収入はCPCに比べればゴミみたいなものなので、単純化の為に、とりあえずCPCだけを見てみよう。

・iAdのクリックレートが1%の場合。 100万円かせぐには555500回広告の表示が必要。
・iADのクリックレートが10%の場合、55550回表示が必要。

というわけで、100万円稼ぐには最も楽観的な場合で5万回。シビアな場合で55万回の広告表示が必要となる

ちなみに95%のアプリは30日以内にiPhoneから削除される。アベレージとしては1ダウンロードにつき3〜4回程度の表示と考えるのが現実的だろう。そうすると、2万〜15万ダウンロード以上は必要となる、米国で。平均的な世界展開のアプリにおいて、英語圏のダウンロード率が70%として、3万〜20万ダウンロードぐらいは必要ってことですね。ちなみに3万DLでペイは驚異のクリックレートの場合ですのであしからず。

有料モデルと比較した場合
有料アプリでは100万円稼ぐには、115円のアプリでおよそ1万2500〜1万5000ダウンロード必要になる。有料無料のアプリのDL比が、1:10とすると、利益率的にはあまり変らない。むしろ現状のiADはクライアントがUSに依存していることを考慮すると、世界的にアプリを売れる販売モデルのほうが達成確率率は高い。

保守リスクを考えた場合
有料無料のダウンロード比が1:10であるならば、無料のアプリケーションのユーザーサポートや保守リスクは、線形に考えた場合、有料のそれの10倍になる。苦情の数も10倍ですよと。 僕は10万本超えのアプリ3本、1万本超えのアプリを4本持ってますが、10万本超えたアプリはトラブル踏むとまずサポートで死ぬ。ユーザー数を増やしすぎるリスクは極力回避したいところ。苦情メール率1%で1000通メールくるし。

iADで成功する条件は・・・
というわけでiADの雑感ですが、ディベロッパーの福音というよりは、1つのチョイス、程度に考えた方がよいです。既に無料アプリを出している人のお小遣い稼ぎにはなっても、全力投球で突撃すると死亡する可能性は、有料とかわらないか、保守リスクを考えると分が悪い程度。おそらく、以下の条件を満たすならば、iADに挑戦する価値はあるかもしれません。

・英語圏で多くDLされるアプリである場合。
・99%のユーザーが使うような、インフラアプリである場合。ニッチアプリはムリ。
・TwitterやRSSビューワのような、末永く使用されるユーティリティ系アプリである場合。
・TwitterやFacebookなど母艦となる巨大ウェブサービスを運営している場合。

RSSリーダーや、Twitterビューワのキラーの座を撮れるならば、大勝利ですね。売るよりも絶対にいい。

今後の展開はどうなる?
で、以下は個人的な私感だけど、iADの参入でAppStore市場がどう動くか?

まず、無料のアプリは確実に増える。アホみたいに増えると思います。 またOS3.x系との互換性等を考えて、旧来のプレイヤーが様子を見る間に、OS4専用でデビューをしてシェアを狙う作戦はありでしょう。 一方で、OS4.0専用というのは、そもそも初期段階でのシェアが非常に少ないこと、アーリーアダプターは取りあえず広告を押すだろうということを考えると、値は大きく偏り、一部のプレイヤーは大変儲かるかもしれません。ただし一発ネタ系への広告の追加は予算と時間の無駄でしょう。

全体の傾向としては、iPhone4加熱とiADのモノ珍しさが一段落したあとで、クリックレートとCPCがどれくらい下がるか?がまだ読めないところです。最終的にはアドセンスよりちょっとマシ程度に収束するんじゃないかな。

また無料アプリの爆発的増加に伴い、有料アプリの売り上げは低下すると思われます。一方で無料アプリはその数の多さから、上位ランカーの一人勝ち状態がさらに加速することでしょう。ポジティブな側面としては、売り逃げモデルから使用期間の長いアプリを作る方向に、バイアスがかかることかもしれません。ネガティブな側面としては、アプストアの有料アプリの比率を大きく圧縮されるため、 相対的にみてAppleの取り分比率が増え、開発者の取り分は減るであろうということです。

僕個人としては、まだ様子見。というかカメラ、ゲーム系は多分iAD関係ない。売り切りのほうが有利なフィールド。 本気でやるならRSSとTwitter争奪戦、あるいはタスク管理でしょうか。あとCPC$2ってことは、自分のアプリの広告をiADに出稿するのはZeptPad for iPad 以外は現実的ではないということです。

下手にバブルで浮かれるより、骨太のアプリを作ることが有料、無料どちらでも必須の条件ではないかと思います。

質疑応答はいつもどおり、Twitterで