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GeneMapperという電子書籍が、とても素晴らしい

電子書籍GeneMapperを読了。これは面白い!

この小説は3つの意味ですばらしい、1つは物語が面白いこと、そしてSFとして面白いこと、さらに電子書籍として素晴らしいこと、

SF小説ではあるけれど、この本には宇宙船もロボットもタイムマシンも出てこない。では何が面白いのか?というと未来のシミュレーションとしての面白さであり、スピード感だと思う。

物語の舞台は2037年。遺伝子操作と現実拡張が当たり前になった世界。

私たちの知っているインターネットは、既に未曾有のクラウドハザードにより崩壊し、トゥルーネットという新しいインフラが主流となっている。Googleはもはや過去のものとなり、そのデータサーバが、過去をサルベージするお宝として扱われるような時代。ビジネスミーティングにはアバターを使い、生の声や身振りを隠蔽してビヘイビア(ジェスチャー補完プログラム)を噛ますのが、マナーになるような時代。

主人公の林田は、遺伝子作物の外見をデザインするDNAのスタイルシートデザイナー。ある日、林田のスタイルシートを適用した農作物に異常が発生ししたと連絡が入る。遺伝子操作により畑にロゴするデザインはずの稲が、正しく機能していないのだという。問題を解決する為、林田は遺伝子操作前の麦のDNA入手しようとする。彼はサルベージ専門のインターネット・ダイバーを雇おうとするが・・・ という感じ。

世界観としては現代のテクノロジーと、Wギブソンのニューロマンサー的な時代をつなぐ中間点のような世界になっている。現在の延長としては、とてもリアルな未来が描かれている。



物語だけでないもう1つの面白さは、この本が個人出版された電子書籍であるということ。

Koboで、Kindleで、あるいはePubを直接Gumroadで購入できる。Koboでは個人でSFランキング1位にまで登っている。

この辺については、Asahiの「日本人初? 「コボ」「キンドル」でデビューした新人作家が1位を獲得するまで」の記事がわかりやすい。出版社を通さずにこのクオリティの書籍が出て来たことは、電子書籍の方向性を占う試金石にもなりそう。

インタビューでも語られているが、なんと執筆はまるまるスマートフォンで行われている!文体もスマートフォンで読むことを前提に、文字の長さや段落分けがされており、独特のリズムとスピード感を持っている。これぞ電子書籍のための小説といっても過言ではないと思う。これが初執筆らしいというのもビックリ。

SFが好きな方、IT系の方や電子書籍ウォッチャーは、読んで損は絶対ないと思う。
AmazonとかKindleとかパブーとか、そういう言葉に反応する人は全員買うべき。