Entries

ペーパープロトタイピング入門 – 第1回 どうして紙でプロトを作るのか



ペーパープロトタイピング講座シリーズ。第1回は導入編。

第1回はの導入編。ペーパー・プロトタイピングとは何なのか、何故必要なのか。そして導入することで、どんな利点があるのかを説明する。



ペーパー・プロトタイピングって何?
ペーパー・プロトタイピングとは、紙で実際にアプリやサイトを「実装する」ことである。

通常の開発においてコンテンツが使いやすいかどうかは、開発が終盤になるまでわからない。このため「作ってはみたが使いにくい」や「いまさら後戻りできない」という問題が発生する。UIや手触りが重要なモバイル系のアプリにおいて、これは致命的な問題になる。ペーパープロトタイピングはこの問題を低コストで解決する。

紙とペンで動作モックを作成することで、本実装を行う前に、素早く手戻なく検証を行うことができる。これにより、仕様書策定や実装前にPDCAのサイクルを実現できる。作業負荷の高い本実装を行う前に軽くスケッチをするだけで、リスクとコストを大幅に節約できるのである。


ビデオは、韓国のポータルがAjaxメールに作ったペーパープロトのビデオである。このビデオのプロトは「やりすぎ」の部類になるが、ここまで作り込んだとしても1日で作業可能な分量である。同規模の遷移をHTMLやPhotoshopで作成し検証する工数に比べれば遥かに小さい。

  • 制作物の使い勝手を、本実装前に評価できる
  • 紙のプロトタイプではあるが、実際に操作して試すのが目的
  • 初期の段階で評価できるため、手戻りを防げる




ペーパープロトとワイヤーフレームの違いは?
よくある誤解のひとつが「ペーパープロトとワイヤーフレームは同じモノ」である。だが両者はまったく異なるツールである。

ワイヤーフレームは「画面と要素の関係を列挙した見取り図」である。ワイヤーフレームは開発の設計図ではあるが、制作物の使いやすさは保証しない。使いやすさを検証するには、実装後のテストを待たなければわからない。一方、ペーパープロトタイピングは、紙面上で実装を行うことである。メディアこそ紙だが、操作可能なデモ/モックアップを作成することだ。設計図ではなく、コンテンツをシミュレートする為ののツールなのである。

紙芝居的につかったり、POPのような補助アプリを使ったりと、アプローチは多用にある。だが、この「操作可能」という点こそが、ワイヤーフレームとペーパープロトの最大の違いである。

  • ワイヤーフレームは、画面の関係性を記した見取り図。
  • ワイヤーフレームでは、使いやすいかどうかは検証できない。
  • ペーパープロトタイプは、紙で作られた「操作可能」なモックアップ。




何故必要なのか?
アプリやサービスが高度化し市場が成熟するにつれて、使い易さや手触りは無視できないものになりつつある。

その一方で、仕様書ベースの受託スタイルや、PSD主導のデザインドリブンの開発では、必要とされるスピードや柔軟性を確保できない。これらの開発手法では、プロジェクトの後半までアプリの使い勝手を評価できない為である。つまり「使いやすいかどうか、作ってみるまでわからない」という博打に近いリスクが生じる。

このような問題を回避するため、プロジェクトの早い段階でUIを検証することが重要となる。本実装を開始する前に、ペーパープロトタイピングを行うことで、序盤でのUI検証を行うことができる。

  • アプリ/サイトが高度化するにつれ、単純に作っただけでは通用しなくなった。
  • スピード感のある検証と改善のサイクルが必須。
  • PhotoshopやXCodeを使ったプロトタイプは、フットワークが悪すぎる。
  • 紙で実装することで、初期段階で高速にプロトタイピングを行える。




どういう利点があるのか?
では、ペーパープロトタイピングを導入することにどんなメリットがあるのだろうか。これは大き3つ考えられる。

紙によるプロトタイピングの最大の利点は「手戻り」を大幅に削減できるで点である。プロジェクト開始直後に全画面のプロトを作ることで、まだ仕様書を策定するまえにアプリのコンセプトをじっくり検証できる。

また紙とペンでの作業ならばで、修正や検証のフットワークは大幅に上昇する。このため変更がきつくなる本実装前に、PDCA(計画→実行→検証→修正)のサイクルを高速に繰り返すことができる。結果、PSDやXCodeでのプロトタイピングに比べて、品質を向上させることができる。

さらに紙とペンで行うプロトタイピングは、チーム全体で行うことができる。プログラミングやデザインを専門としないメンバーであっても、専門家と同様に参加できるからだ。プロジェクトの初期段階にメンバー全員でプロトタイピングを行うことで、チーム全体の共通認識を築いたり、多角的な視点での評価を執り行うことができる。

  • 初期フェーズで設計を評価し、コストとリスクを低減できる。
  • 修正や検証のフットワークが上昇する。
  • プログラムの専門技術なしに、チーム全員が初期設計/評価に参加できる。





まとめ
以上で論じたように、ペーパープロトタイピングは単純なワイヤーフレームとは異なり、紙を用いてアプリの操作や挙動をシミュレートする手法である。
フットワークやPDCAが重要視される現在、厳格な仕様書を定める前に、あらかじめアプリケーション全体の操作を検証することはリスクを大幅に軽減させる。ペーパープロトタイピングを導入することで、プロジェクト初期での柔軟な検証や修正、チーム全体でのビジョンの共有が容易となる。ペーパープロトタイピングは導入コスとが極めて低い一方で、リスクや手戻りを大幅に削減するため、あらゆるプロジェクトにおいて実験的にでも導入をしてみる価値がある。


第2回では、ペーパープロトタイピングに必要なツール達を紹介していく予定
質問、ツッコミ、誤字脱字はコメント欄かTwitterで。