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スマホUI考(番外編) UIやUXを劇的に改善する、『ビッグオー駆動型開発』とは

いま『ビッグオー駆動型開発』とよばれる開発手法が、業界の一部で注目を集めている。

その理由は非常にシンプルだ。『ビッグオー』は非常に安価で簡単な手法でありながら、従来の開発手法に比べ劇的にUIやUXを改善できるためである。

製品コンセプトのような上流から、ボタンのレイアウトといった下流工程、さらにはグロースハックやプロモといったリリース後のフェイズまで一つの手法でユーザビリティを評価できる。この汎用性がビッグオー駆動開発の大きな特徴であり、導入時の利点となる。

今回はこのビッグオー、の概要と具体的なやり方について論じたい。TwitterのUI拡張予言以来、久しぶりのUI系エントリである。



ビッグオー駆動開発とは何か?
ビッグオー駆動開発は、正式には『OKAN Driven Development(オカン駆動型開発)』とよばれる開発手法である。

これは自分のオカンを指標とすることで、低コストで効率のよいユーザーインターフェースPDCAサイクルを回していく。

ビッグオーは、本来は数十万円からであったユーザー調査コストを95%以上圧縮できる。この手法は100万人以上のユーザーを目指すようなマジョリティ向けのプロダクトにおいて、特に顕著なパフォーマンスを発揮する。一方でニッチ向け製品との相性は悪い。

具体的にはビッグオー駆動型は、サービスのユーザビリティについて6つの評価指標を持つ。この6つの指標を第一指標からクリアしていくことで、アプリを短期間で効率的に改修していくことができる。



ビッグオー駆動型の評価指標

1. オカンが製品名/機能名を正しく記憶できるか?
サービス名を正しく言えない場合、コアコンセプトと名称が乖離している可能性が高い(無意味にドイツ語や北欧系ネームなど)。機能名を正しく言えない場合も、ユーザー層と乖離したテクニカル単語ををのまま使っているなど文言改善の余地がある(プル、コミットなど)。グロースハックに対する阻害要因となる。
2. オカンに対し、電話越しに製品を説明し理解させられるか?
オカンがサービスについて正しく理解できない場合、コンセプトが複雑すぎたり、不必要な機能が多すぎる。
3. 各種タスクを電話越しに指示し、オカンに正しく実行させることができるか?
オカンが正しく実行できな場合、ラベルやボタン配置、画面遷移などが適切でない。あるいは画面内に不必要なエレメントが多すぎる。
4. 電話越しにオカンに対して適切なトラブルシューティングができるか?
問題が解決できない場合、画面要素やコンセプトが整理されていない可能性が高い。またフェールセイフやマインドマップの欠如も予想される。もしも「関わりたくない」と思うほど、頻繁にトラブルシューティングが必要な場合、そもそも自身のプロジェクト残留そのものを見直すほうがよい。
5. サービスやアプリを、オカンがオカン仲間に正しく説明できるか?
オカンが製品を正しく説明できない場合、製品コンセプトが練り込まれていない可能性が高い。あるいはアプリそのものが多機能か複雑すぎる。またグロースハックに対する阻害要因となる。
6. オカン仲間に対し、オカンがトラブルシューティングをすることができるか?
できない場合、アプリケーションのフェールセイフ機構に潜在的な問題がある可能性が高い。またグロースハックに対する阻害要因となる。



もし、ここまで記事を読んで、「うわぁ、メンドクせぇ・・・絶対やりたくねぇ」、と思った貴方は要注意だ。開発者自身が身内の人間に説明することすら忌避する。そのような商品がバズを生み出したり、一般大衆に広く普及することはない。いまいちどコンセプトに立ち戻って、製品を練り直すべきだろう。

弊社の場合、ビッグオー駆動型開発の導入による品質向上は劇的なものだった。アプリは100万本を売り上げ、カンヌを受賞し、iTunesベストアプリに選出され・・・その効果はバツグンだ。

自社製品のUI/UXについて悩む開発者は、まずはビッグオー駆動型開発を導入してみてはどうだろうか? コストはほとんどかからない。必要なのは実家に電話する勇気だけである。

万能にみえるビッグオーだが、一点だけ注意しなければならないことがある。それは「オカンの提案や意見をそのまま採用してはいけない」ということである。ビッグオーでの調査指標は「オカンの不平と行動、トラブル」であり「オカンの意見」ではない。この点を間違えるとビッグオーはほとんど役に立たない。



一見ネタ記事のように見えるビッグオー駆動型だが、実はユーザーインタビューやユーザーテストなど、ユーザー中心デザインの入門用トレーニング手法として開発したメソッドである。

またユーザビリティテストの有用性を証明する用途でも非常に大きな効果を発揮する。

大量の予算を投下して、複雑な調査指標や大量のアンケート、ビッグデータ解析などを行う前に、このような調査をやるだけでも非常に多くの改善点を洗い出すことができる。ユーザーインターフェースについて興味のある人は、ぜひ試してみてもらいたい(ついでにブログに結果を書いて、トラックバックしてもらいたい)。

<追記>
森田さんからトラックバックを頂きました!「Re: スマホUI考(番外編) UIやUXを劇的に改善する、『ビッグオー駆動型開発』とは」。

森田さんの仰ることはごもっともで、「とりあえずユーザー調査してみようよ、とっかかりはオカンが最適だよ!」的なノリにする為に、ざっくり省略したところをピンポイントでご指摘、補足いただきました。