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FacebookのニュースアプリPaperのUIと、その背後に見える戦略について

Introducing Paper from Facebook on Vimeo.

FacebookがリリースしたニュースアプリPaper、さっそくダウンロードして触ってみた。

使ってみた第一印象は、「意欲的な実験作だが、まだ実用品ではない」といった感じだ。

外見や手触りが注目されるPaperだが、しかし僕自身が一番注目しているのは右上のナビゲーションだ。Paperの右上は、「人」「会話」「通知」
というFacebookの基幹アプリとまったく同じ構成なのである。そしてFacebookの同機能にアクセスする。つまり、Paperはニュースアプリの形をしているが、本質的にはFacebookクライアントなのだ。

これは。何を意味するのか・・・ つまりFacebookは今後、様々なコンセプトのFacebookクライアントを複数リリースするということだ。

右上のボタン群が主張するUI上のメッセージは、「Facebookは、そのソーシャルグラフをバックエンドとした、新しいFacebookの在り方そのもの(フロント部分)を模索している」ということである。



これは昨今のメッセージングアプリやInstagramの流行に対し、facebookが危機感を抱いていることが背景にある。現在の資産を活用しながらも、フロント部分の新しい在り方やタッチポイントを模索し、まったく新しい在り方やタッチポイントを模索しているように見える。

今後、Facebookはレシピ、TV、電子書籍、カレンダーなどにFacebookの基幹機能を埋め込んだ、あらゆるFacebookクライアントの可能性を模索していくだろう。その多くは消え去るだろうが、ニーズとマッチしたいくつかが生き残り、Facebookはまったく違った方向に生まれ変わる。ソーシャルデータはそのままに、時代とデバイスにあった新しいユースケースへと移住する。それができなければ、自身が徐々に沈んでいくと認識しているのだ。

Paperを論じる場合、その目に見えるグラフィックやアニメーションでなく、Facebookアプリケーション網とでも言える戦略そのものに重要性があると思われる。



グラフィックや手触りは、非常に高品質で洗練されている。アニメーションの動き方を見る限り、チームにflash系の経験者がいるようにも思える。

その見た目と反して、ユーザビリティや動線設計はかなり課題が多い。ジェスチャーを多用しすぎている。ジェスチャー入力は画面要素を整理したり、体感的な気持ちよさには寄与するが大きな問題が1つある。それは「ジェスチャー可能領域は基本的に目には見えない」ということだ。このアプリの場合も、何をどう操作すればどうなるか?ということがユーザーは予測しづらい。特に縦方向のジェスチャが、スクロールと戻ると進むが混合しており、ミスを頻繁に誘発する設計になっているように思える。

UI/UXの品質や、アプリの完成度について論じるならば、FiftyThreeの出している同名のアプリPaperのダウンロードをお勧めする。こちらはiPhoneでなくiPad、ニュースではなくお絵描きアプリだが、現時点ではiOSアプリの究極系の1つであると考える。

だが、繰り返すがFacebook Paperの本質はアプリの外見や品質ではない。Facebookがソーシャルノードを基幹としたFacebookクライアント群を作ろうとしてるという事実。それこそが大きなチャレンジであり、Facebookのインターフェースデザインであると考える。

Paper by FiftyThree from FiftyThree on Vimeo.