‘長文’ カテゴリーのアーカイブ

Androidで食えるのか?

2010 年 1 月 23 日 土曜日

IT Mediaの 賢者の意志決定: 誰も教えてくれない「Androidで食えるのか?」 (1/2) に、先日のNexus Oneの分析記事が掲載されました。

一応補足すると、タイトルは僕がつけたわけじゃありません。
基本、先日のエントリーがまさかのほぼまま掲載。 こんな暴論をのっけてIT Mediaさん本当に大丈夫なのかちょっと心配。
で、予想外のタイトル「食えるのか?」ということなので、その辺を多少追記

Androidのアプリで食うことが難しい最大の理由は、Androidストアの仕様にあります。 
Android Marketはアプリの販売額の為替レートが時価の為、日本の開発者がリリースしたアプリは世界中で円価格で表示されると聞いています(少なくとも発表当初はそうだった)。

円で表示されるだけで、売り上げ的には大幅なディスアドバンテージになることは確実。 自分だってアプリ買おうとして、価格が元やウォンやペソだったらまず買わない。

となると、必然的に売り上げの回収は、国内のスマートフォンだけで完結させる計画し、北米で売れたらラッキー程度に構える必要があります。

ざっくりとした見積もり
とりあえず、国内のAndroid携帯を超好意的にみて100万台。 iPhoneを200万台と仮定して考えてみましょう。

また、手持ちのデータからiPhoneの日AppStoreのトップ5有料アプリのダウンロード数が平均1000/日とします。

AndroidストアがiPhoneのストアと同じぐらい活況のわけはないので、色々な要素をふまえて係数を仮定します。 リナックス系のフリー文化と、売り上げランキングがないことと、UIが英語の壁を乗り越えて、Androidで有料アプリを買い捲るユーザーが、超好意的な判断で50%いるとします。で、さらに端末台数差で0.5掛すると、日本のトップ有料Androidアプリが1日に250本DL。 フリーアプリとの価格競争を考え、アプリの価格を100円とした場合、トップ5アプリの1日の売り上げは約25000円。 1ヶ月トップ5に君臨して75万円程度ということになります。あくまで上記はとても好意的な数字なので、実際には20万いかないんじゃないかと思いますが・・・

実際にはAndroidストアにはランキングがないので、トップ5という概念はなく値はより低くなる上に、露出を確保するための定期的な広告・販促費が必要となります。 あんまご飯が食べれる雰囲気がありません。

となると、高価格帯か、広告モデルか、月額課金か、携帯会社にスポンサーになってもらうか、Androidの外側にビジネスモデルを置くか、とにかくiPhoneとはまったく異なるアプローチを求められることになります。 メンドクサイから省略しますが、他のアプローチでも現状の規模を考えると、色々と厳しいかと。Xperiaと同時にくるDocomoストアに期待したいところです。

でかいプレイヤーならば様々なアプローチを取れるかも知れませんが、僕のような個人や小規模なプレイヤーでは、あまりできることが少なさそうです。

もしも、大人の事情で(Appleに垢BANされるとか)、自分が明日からAndroidの収入オンリーで行かなければならないとしたら・・・ 多分、物書堂さんに虎屋の羊羹もって行って、大辞林のAndroid版がでるかどうかを確認をしてから、辞書市場を攻めるるのが現状のベストチョイスかと思います。

パワーが余っているならば、収入モデルをAndroid Marketの外側に置いて、無料アプリを作るんですが・・・ 残念ながら自分にはそちらの作戦をとるだけの、人材もコネも資金もなかったりするわけです。

ポジショントークと思われるかもしれませんが、思いっきりポジショントークです。 貧弱プレイヤーなので自分のポジションを明快にして、価値観を共有できる人々と同盟を組まないと、僕なんぞ生きていけませんです。

Amazon70%印税ルールの各条項を深読みする

2010 年 1 月 21 日 木曜日

先日、ほぼ全ての国内メディアをすっぱ抜いて見っけてきたAmazonの70%ルール。そのままもうちょっと深読み編へ。
頭よさそうな人たちのトリッキーな戦略を、無駄に深読みするのは楽しす。

(more…)

Amazon印税率を70%に大幅引き上げ、焦土戦に突入。概要と雑感。

2010 年 1 月 21 日 木曜日

ソースはAmazon。本日1/20日にプレスリリース。とりあえずの概要と、雑感。

正式には30%の印税オプションと、70%から通信料を差し引いた印税を受け取るオプションの2種類を選択可能になる模様。 現在の通信料のレートは$0.15/MB。 Amazonの電子書籍の容量の最頻値中央値(注意:平均値ではない)は368KB。つまり一般的な本は1冊につきおよそ$0.06の通信費となる。

これにより、一般的には辞書辞典、写真集以外の電子書籍はほぼ70%の印税を取得できると考えてよい。
ただし印税率70%を選択する場合は以下の条件を満たさなければならない。

・価格が$2.99 ~ $9.99 の範囲
・リアル書籍版の最低価格より20%以上安くなければならない。
・著作者が権利を持つ全ての地域で購入可能でなければならない。
・KindleとKindle Storeの全オプション(Text to Speech等)を受け入れなければならない。この機能は将来的に拡張される場合がある。
・その本の販売価格はAmazonが最安値でなければならない。最低価格は自動化ツールによって調査され、その販売価格の70%がロイヤリティとなる(Under this royalty option, books must be offered at or below price parity with competition, including physical book prices. Amazon will provide tools to automate that process, and the 70 percent royalty will be calculated off the sales price. )

・このオプションは自身が著作権を持つコンテンツのみに適用される。(パブリックドメイン等には適用されない)

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これは物凄い球を投げてきたイメージ。 

Amazon は 当面の間Kindle デバイスから収入をあげ、電子書籍からの収入は捨てるというiTunes系のモデルに移行する模様。この球の肝は、出版社もこの条件を飲むならば在庫流通コスト0で70%を取れる一方で、著者が直接Kindleストアと契約して70%総取りを行うことができる点。 しかもこの70%オプションを取る為には、Amazonでの販売価格をB&Nや実書店と比べ最安値価格としなければならない。

突然の値下げですが、Amazonが痛手をおうかというとそうでもないかと。在庫と流通がほぼないデジタルプラットフォームのセオリーとして、競合が出るまで暴利を貪って、競合でた瞬間に体力勝負の焦土戦。後発の参入コストを限界まで引き上げて、ライバルプラットフォームを殲滅するというのは、正しい手だと思います。


ちょっと法律は専門外なので不正競争関連の法律とどうからむかわからないが、 ストレートに見れば競合プレイヤーが保守派や対Amazon包囲網に組するならば、そのプレイヤーはAmazonから70%の印税をうけることができないという非常に巧手。 Amazonにケンカを売るならば、そのプレイヤーは世界最大のストアでの売上額が半額になるというシステム。これは下手な出版社が半Amason包囲網を作ろうとしても、戦略が短期的には非合理的になり、その出版社は株主からの訴訟等のリスクを負う可能性がでてくるわけですね。

Amazon的には短期的な利益を捨てても、この1手で競合を黙らせ、Kindleの台数を拡大し、視覚障害者団体や著作権者団体と軋轢のあった音声読み上げ権利の獲得などを一気に狙ってきた感じ。

iSlateへの対抗策といわれているけど、正直色々なところでいろいろなモノが詰んだんじゃないかと。

去年の2月、独立直前の予測がいい感じに当たってきました。 あとはiTunesがAppleTVかSlate経由で、ケーブルテレビ配信を抑えればいい感じですね。

何年も前から言い続けていた、3強による直通流通型のプラットフォーム戦争がいよいよ直接対決にりそう。 個人的な注目株はAppleTVとKindle。iPhoneは自分のなかでは時代の仇花というか、一過性のものに過ぎないんじゃないかと思ってます。


同時に5年前のエントリで書いた、デバイスにより他プレイヤーの経路を遮断する戦争、がAppleとGoogle間の離反により本格的になりはじめた。 AppleとGoogleはMap, 検索、Phoneの部分で競合をはじめた。また電子書籍も、もはや三つ巴の戦争となった。 全体的に如何に相手を無効化するプラットフォームレイヤーを構築するかが明確になってきた。

圧倒的な技術に支えられたグーグル・ゲートルウェイは磐石なのか?というと1つだけ致命的な弱点がある。それはインターネットの、さらにはコンピュータの手前に、「あちら側」へのバイパスを築かれることに対してグーグルは余りにも無力であるということだ。


ようやっと主張し続けていた、構図がリアルに立ち上がってきたわけですが、その中で自分がちゃんといい立ち位置を確保できたかというと、いまいちまだわからない。今後のことは色々考えているけど、とりあえずしばらくは頑張ってiPhoenアプリ作ります。

自分はプラットフォーム戦争の趨勢として、人生の労力をAdobeとAppleに7:3ぐらいの比率でベットしまくっているのだけど、どうなるんでしょうね。Amazonはベットしたくても、書籍でしか切り込めないので辛いです。

今回は速報の雑記だったけど、もうちょっと考えた内容を別エントリで追記。細かいつっこみはTwitterで捕まえてくれればと。

Nexus Oneを入手したので、とりあえず分析

2010 年 1 月 18 日 月曜日

Google Phoneこと、Nexus Oneを入手しました。 シアトルから送ってくださったMasuiさん多謝ですー。
<追記>とりあえず、ざっと触った雑記。ちょっと長くなったので、あたまにインデックスを作成。

1:工業製品としてのNexus One
2:UIとしてのNexus One
3:アプリ
4:Flash Platformとして
5:ビジネスとして
6:プラットフォームとして
7:HTML5および、クラウドアプリは来るのか?
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工業製品としてのNexus One
第一印象としては、とても素晴らしい出来。 ボディーは金属と軟質プラスチックの組み合わせ。 この軟質プラスチックの背面が、スベスベしながらも手に吸い付く感覚でiPhoneよりも手触りがエロい。

強化ガラス(ゴリラガラス製?)のタッチスクリーンの下には、Androidの標準UIである4ボタンがタッチセンサーで配置されてる。ボタンのフィードバックは弱バイブ。ここは物理センサーのほうがよかったかも。

また特徴的なのは、乳白色のトラックボール。内部にLEDが搭載されていて、アプリのフィードバック時に点等する。Macのスリープと同じといってしまえば身も蓋もないけど、点滅のパラメータが大分いい感じに調整されている。

気になるのは易分解性。 ハードの経験のないGoogleがHTCから出しているわけでメンテナンス性に不安が。トラックボールにゴミがつまる悲劇が、ポケットに入る携帯だけにマイティマウス以上に発生する予感。分解して掃除できない場合は、サポートストアがない為、大分トラブルになりそう。 

UIとしてのNexus One
ちょっとAndroidそのものに詳しくないので、AndroidとNexus Oneの切り分けができていませんが雑感・・・

全体として、インタラクティブ性に愛がない印象。 なんというか、普段アニメーションやエフェクトをメインにしてない人が、アニメーションの調整をした感が溢れている。

具体的にいうと、スクロールバーの実装とか。 画面をスクロールして投げ放した場合、0.2~0.3秒後にスクロールのアルゴリズムがなんか切り替わってるっぽく、動きが二段階にガタツク。 あるいはスライドのジェスチャーをキャンセルしたときの戻りのアクション実装を省略してるとか。

Flexコンテンツ系のガチなプログラマーに、無理矢理Flashの広告コンテンツをお願いして、大幅に動きのディレクションしたけど、色々至らなかった時のイメージ、といえばFlasherには伝わるはず。

アプリケーション毎に、統一されたマナーがあまりない点もちょっと気になる。基本操作的に4つのハードウェアボタンが必須なのだけど、アプリの遷移と戻るボタンの関連付けが、非明示的な部分があるので、ちょっと混乱が置き易い印象も。

アプリ
SIMなしのNexus Oneだと、無料アプリしかDLできないので、有料アプリの話はなし。

全体的にみた場合、アベレージの品質レベルはiPhoneよりも遥かに低い。やはりアプリケーションに統一したマナーが見られにくい印象が。ここら辺は逆をいえばAndroidの柔軟性であるのかもしれないけれど、説明書ナシに使えることを前提としたモバイルアプリケーションではデメリットが多そう。

ブラウザの出来は素晴らしい。 前述のAndroidレベルでのスクロールの実装が残念な感じだったり、ローディングバーが何故か左に2ピクセルずれてたりと、変なものが足を引っ張ってるけど、それをありあまって作りこまれている。予測変換が結構頭いいのもポイント。

非同期処理や、パイプライン?っていうのかな、処理の一部を他のアプリに委譲できるところは素晴らしい。ここら辺を使えば、様々なアプリケーションの可能性が一気に広がると思われる。 いっぽうで気になるのは、バックグラウンドや複数アプリの管理のあたり。ただ、ここら辺は慣れで克服できる可能性も高いのでもう少し使い込んでみないとわからない。

Flash Platformとして

まだです。2010年中盤まで大人しく待ちましょう。

ビジネスとして
作り手として一番クリティカルな問題である、「食えるのか?」。 これは、はなはだ疑問。 受託なら食べられるのかもしれないけど、単価を考えると受託でやるならFlashかWeb Service作るほうが鉄板と思われる。

印象としては、アプストアの設計思想が非常に悪く、ユーザーを購入まで誘導するのが難しそう。 前述のアプリのアベレージの品質が低い点と、グーグル系無償文化等により購入レートがiPhoneより大分下がりそう。

また、アプリごとのマナーが異なり、アプリの学習コストが跳ね上がっている為、文化として気軽に無料のアプリを散策していれる習慣が発生しにくいと予想される。

必然ハブを持ったプレイヤーか、口コミ定番以外の経路が発生しずらく、普通にアプリ売ろうとしたらiPhoneより広告コストが必要なんじゃないの?というイメージ。 そうなってくると、日本出身のプレイヤーには色々しんどそう。

もう1つ大きく気になるのが、「iPhoneはアプリが多すぎて参入が難しい!、でもAndroidならチャンスがある!」と叫んでいる層が、受託企業かコンサル系ばっかりな事。 そのうえiPhoneアプリが如何にしんどいかの分析のわりに、Androidストアの分析の話が全然でてきてないので、ここら辺の発言はあまりリサーチに基づいていないのではないか疑惑を感じる。また開発者で実際にそれなりの成果をあげたプレイヤーが表にでてきていない。彼らのビジネスモデルは受託業務になるので、Androidアプリそのもののコストとリターンはクライアントが背負うことになる。 なのでAndroid最高!って風潮は、ある種ノーリスクなプレイヤーが扇動している、一過性のブームである可能性を慎重に考える必要はある。 アプリを企画することと、アプリを出すことと、アプリを作ることのどこがビジネスなのかを見極めないとなぁと。

もっとも、Androidがモバイルの主流になるのはほぼ確定なので、観測気球と自覚してなら、アプリを今のフェーズで打ち上げる価値は十分にありそう。 個人的には、ユーザー露出と導線の確保、またデバイス間の動作保障コストを考えると、携帯会社がスポンサーにでもならなければ、ちょっと様子見に徹して、積極的参入は避けたいところ。

自分的にはオリジナルのAndroidアプリ専業で食うには、iPhoneの3~4倍難易度が高いと思われ。

Nexus Oneの初週の売り上げがたった2万台という話について。 これは市場的な問題というよりは、どちらかというとGoogleのマーケの失敗と思われ。 サプライズ戦略が失敗というか、Google直販で携帯を買うようなメインターゲットが既にDroidで2年縛りなだけだと思う。ただ20000台のうち15000台ぐらいは、ディベロッパー購入の開発機なんじゃないかという疑惑も。

プラットフォームとして
以下はレビューというより、雑感。現状のままいけば、ほぼ間違いなくモバイルのマジョリティは獲得できると思われ。

Androidのポジションがウィンドウズになるかリナックスになるかは、まだ見極めがつけられない。 リナックスのようにサブバージョンの波に飲まれて、マイナー志向に陥る可能性も十分にある。 ただ、スマートフォンが本格化するにつれ、純国産スマートフォンはもう無理だろうなと。

おそらくは今後数年で、微妙に官庁主導か、キャリア連合で純国産のモバイルプラットフォームを作ろう!みたいな動きが出る。んで、大人の事情で品質ではiPhoneに劣り、数の論理でAndroidに劣りで、ニッチもさっちもいかなくなるかと。

最終的には、国内の携帯市場の飽和にともない、アジアと北米での販売を踏まえて、米国から Droid ベースかなんかの、パッケージ化されたAndroid OSをライセンスで購入するという、残念なシナリオになるんじゃないかと思う。もちろん独自路線で微妙なAndroid OSを作るという線も当然あるけど。

個人的にはこのAndroidブームのドサクサにまぎれて、Adobeの活躍を期待期待。 AndroidへのFlash10の搭載による競争力の強化をカードに、iPhoneへの搭載ができればAdobeの勝ち。 基本的にデバイスやプラットフォームがカオスになればなるほど、Adobeの有利になるので、ここ二年ぐらいがAdobeの正念場のはず。

個人的にはAdobeが、FlashやAIRがコアレベルで融合したAndroid OSを作るって方向に動くとステキ。んで、iPhoneみたいなスリックなUIの携帯が簡単に作れますよーといって、パッケージをばら蒔く戦略。

HTML5および、クラウドアプリは来るのか?
Adobe Flashの支配を回避しつつ、iPhoneとAndroidの両プラットフォームを食うという発想になると、HTML5系のアプリとクラウド・クライアント型のビジネスモデルを考えがちだが、ここはまだ疑問。 HTML5は正直Google Maps以降のAjax vs Flash幻想の焼き直しで、HTML5がFlash等を食ってプラットフォームレイヤーとなる可能性は非常に低い。

HTML5が本格起動するのは2012年以降であり、仕様策定のフットワークが悪い。現在のHTML5そのままではマルチタッチや、センサ、電子書籍等をはじめ、モバイルへの過渡期に発生する新技術のほとんどが2012年まで放置される。結果、デバイスに特化したアプリは、おそらくIE vs ネスケ戦争でおきたような、独自仕様ラッシュは目に見えている。マルチプラットフォームのアプリを作るは難しいのではないか。結局はGoogle Documentや、Mapsの延長のテクノロジ、あるいはウィジェット製作ツール程度に考えたほうがよいかと。

クラウドはもっと悲観的。クラウド系アプリは、設備と規模が暴力的な強さを発揮するので、日本のプレイヤーは、日本生まれで英語ができないというだけで、圧倒的に不利。英語・中華圏のほうが有利なんじゃないかと思ふ。ただ、それさえ担保できれば、クラウドベースのアプリは大分有効。10年ぐらい前、自分は大学時代の授業の発表で、「WEBはオンラインにCD-ROMおくよりも、オンラインのスパコンから処理結果を貧弱な携帯クライアントに投げる方向に進化するほうがいい」みたいなこと提案して失笑されたけど、そういう時代が本当にユメじゃなくなりそう。

自分個人としては、Nexus Oneを触った限り、まだAndroidに参入するタイミングではないかな?という結論。 iPhoneを基点にスマートフォンのUIとマーケのノウハウを蓄積しつつ、Flash for iPhone、ひいては Flash for Android の到着を待つ、という感じかと思います。

でもNexus Oneとりあえず、買う価値はあると思います。設計思想を学ぶだけで十分もとが取れそう。 質問等はTwitterのfladdictとかで適当に捕まえてください。

コンテンツプラットホームとしてのiPhoneの設計が間違っている、を読んで

2009 年 6 月 21 日 日曜日

はてなポイント3万を使い切るまで死なない日記: コンテンツプラットホームとしてのiPhoneの設計が間違っている

僕もこの人の考えに近いかなぁ。

ぼくが問いたいのはiPhoneで、今後、大儲けできるようなシナリオが存在できるような設計になっているのかどうか、そしてアップルがそういうシナリオを用意するつもりがどれだけあるか、ということだ。


そもそもDL販売によるアプリケーション販売って構想そのものが、死亡遊戯だもの。Appleもコンテンツで儲かるとか思ってはないと思う。アプリケーションはデバイスを普及させる為の手段ではないかと。

いつも思うんだけど、なんでDL販売を考える場合、誰も在庫について真剣に考えないのだろうか。 DL販売のメリットが流通コストの削減にあるなら、最大のデメリットは在庫という概念の消失だと思う。 在庫という概念がなくなるのは、一見メリットと見えるけど、これは明らかなデメリットだと思う。

在庫という概念のなくなると
在庫がないという事は、無限に流通させることができるということだ。これは近視眼的に個々のプロダクトレベルで見た場合は、明らかにメリットだ。小型プレイヤーにとっては世界に勝負できる大きなチャンスに見える。

ところが全体を俯瞰した場合は逆になる。何故なら、商品が無限に複製再生産できる場合、過去にリリースされた全ての商品は、事実上の競合として半永久的に存続するからだ。

その上App Storeの構造上、iPhoneアプリの売り上げはストア上での露出に完全に依存し、初動をピークに急激に下降をする傾向がある。 露出さえなくなってしまえば、後の収入は無数の同種競合アプリ間で分散することとなる。 このような再生産コストと在庫リスクが0で、売り上げが価格とストア露出に依存する場合、ある戦略が浮上してくる。 

それは売り上げピークを超えてしまった名作アプリをダンピング販売することだ。

ダンピング戦略の合理性
例えば600円の超高機能な写真編集アプリがあったとする。 このアプリで売り上げのピークを超えた後も利益を出すもっとも合理的な戦略は何か? それは、そのアプリを競合の半値以下に値下げすることである。

どうせあとは下降していくだけならば、いっそ捨て値で、ライバルごと畑を焼いてしまえばいいのだ。

在庫を抱えるリスクも再生産のコストもかからないならば、それは非常に合理的だ。 なぜならば、まだ利益回収のできていない競合アプリは価格競争力に耐えられず、またこれから参入するライバルはその価格帯では開発をペイできなくなるからだ。 結果、極端にダンピングをしたアプリは、安定したシェアを手に入れることができる。 そして安定したシェアが手に入るのならば、この戦略は現状のiPhoneのスケールでは十分にペイしてしまうからだ。

倫理的な善悪や、感情的な好悪に関わらず、その戦略が有効戦略として機能する以上、それを採用するプレイヤーは必ず現れるだろうし、全体がその方向に進むことを止めることはできない。

結果、現状のシステムでは個々のプレイヤーが利益の最大化を目指せば、必然的に価格は破壊されていく。 そして市場に生き残るのは115円~230円で、超高機能アプリを作れるプレイヤーだけとなる。この仕組みのスマートなところは、開発者同士の争いが激化すれば激化するほど、ユーザーもAppleもハッピーになる点だと思う。ダンピングのリスクは開発者が負い、メリットは彼らに向くからだ。

アタリショックは起きない
AppStoreのシステムについては、アプリの乱立によるアタリショックが起きる為、これがAppleがダンピングや乱造を抑制する方向へと動かすと考える人もいるだろうが、恐らくそれは起きない。なぜならばストアにおけるアプリケーションの露出はAppleが完全にコントロール可能だからだ。

Appleは安く高機能なアプリを定期的にフィーチャーする。そして、その優秀な開発者さえ保護すればいい。それだけで、低価格競争戦争では乱造しかできないプレイヤーは、すぐに淘汰されてしまうからだ。 Appleがアプリケーションの露出をコントロールできる以上、アタリショックは起こりえない。

コンテンツより端末
僕には「コンテンツプラットホームとしてのiPhoneの設計が間違っている」かどうかの判断はまだ付かない。が、開発者にとって優しくない環境であるのは確かだ。

そしてAppleにはこの構造を是正することはないと思う、少なくとも直近では。 なぜならAndroidなりBlackBerryと対抗するにあたって、低価格帯の高機能アプリというのは武器だからだ。

身も蓋もないことを書くと、iPhone一台販売すればAppleには数万円の金額が転がり込んでくるはずだ。 1ユーザーの平均アプリ購入数が10個程度ならAppStoreによる収入なんて今は捨てても問題はない。iPhoneの普及が高プライオリティである以上、アプリの低価格化に歯止めをかける理由がAppleにはない。 <追記補足>これはAppleが別に開発者を軽視しているわけではないと思う。devやstoreの中の人の思惑とは別に、組織としてのAppleは自身の大きな戦略を犠牲にしてまで、ここを積極的に変更できないという感じなんじゃないかと思う。

この環境は当面続くんじゃないかなと思う。多分、スティーブ・ジョブズが病気療養中に丸くなったとか、復帰したスティーブ・ジョブズがいつのまにかスティーブ・バルマーと入れ替わってたとか、そういう根本の戦略に関わりそうな大変化がなければムリかと。

そんなこんなで

コンテンツの流通プラットフォームとして考えて場合、みんなが低リスクでハッピーという環境ではないと思う。 参入障壁は低い。でも、利益を出すには大コストで超低価格帯アプリを作って、周辺競合を殲滅しつつ一人がちする。 一握りの大勝者と、大多数の敗北っていうルールが現状のAppStore市場だと思う。

セカンドライフ的なバブルはもう終わったと思うし、利益を出せるプレイヤーはいると思うけど、その為にはこの殺伐ルールを受け入れて、これに特化した戦略を組み立てなければいけないのだと思う。個人的にはアリだと考えているけども。

とか書いているわけですが、僕もニートエンジンだったQuadCamera死亡により尻に火がついたので、ちょっと本気でAppStore市場を研究するか、そろそろflashの仕事をしなければならなくなってきた今日この頃です。

iPhoneにおけるアプリ内課金は機能するのか??

2009 年 6 月 14 日 日曜日

WWDCで最も日本の開発者がエキサイトしていた機能は、アプリ内課金だったと思う。

ただ僕個人としては、少なくとも現状の仕様のままでは、iPhoneにおいてアプリ内課金が成功するのはとても難しいと思う。もっとも僕自身は携帯業界の人間ではないので、定額課金に関しての見通しが甘いのかもしれないが。

現状のアプリ内課金が、成功しない理由は軽く考えても10個以上挙げられるのだが、その中でもっとも最初にぶつかる壁はスケールの問題だ。



予想以上に小さいスケール
国内のiPhoneアプリ市場の場合、メディアに露出している企業レベルの有料アプリでも、そのDL数は好意的に見て平均2000〜5000本ぐらいだろうと思っている。ヒット作で1万本。大ヒット作で5万本。というのが自分の認識だ。

話をわかりやすくする為に、ここでは115円で1万本売り上げの、それなりにヒットしたアプリで考えてみる。

1万本のアプリでのアプリ内課金の売り上げ
1万本のヒットアプリを作った場合で、その10%が定額課金に参加したとしても、1000ユーザーにすぎない。これに対し、350円の月額課金であったところで、月にたった50万円程度の収入だ。このスケールで定期的にコンテンツのアップデートを要求される定額課金コンテンツが運営できるか?というと疑問がある。

また切り売りの有料機能追加の場合も、10%が350円のお金を払っても(個人的にはもの凄い好意的な見積もりだ)、単に売り上げが115万円から150万円に変わるだけだ。売り上げ30%増というと魅力的に聞こえるが、実際には国内スケールの限界がある以上、単なるプラス35万円というのが現実だろう。

この程度の売り上げの変化では、はじめから230円で完全版をリリースし、6500人のターゲットを見据えるほうがよいように思える。なぜならば115円域を購入するユーザーよりも、高額のアプリを購入するユーザーのほうが、基本的にリテラシーも高いし、アプリの内容を理解し吟味して購入するからだ。6500人の理解あるユーザーをサポートするほうが、1万人のユーザーを扱うより楽であるし、また追加アップデートに関わる金銭トラブルのリスクを抱え込まなくてすむ。

iModeの文法は通じるのか?
多分、定額課金による収入増加を見込んでいるプレイヤーの大半は、携帯市場とくに公式アプリ出身のプレイヤーが多いのではないかと思う。しかしiModeの場合、絶対的なユーザー数と、公式アプリという保護政策によって定額課金は機能していた感が強い(自分という部外者が観測にすぎないが)。 ユーザー数が少なく、そのうえに50000本のアプリが並列に展開される、AppStoreにおいて、従来の携帯アプリでのアプローチがそのまま成功するかどうかは大きな疑問だ。

従来の携帯アプリをそのままiPhoneに移植したプレイヤーがほぼ全員敗走している以上、携帯アプリの課金モデルをそのままiPhoneに翻訳したアプリを作っても、また惨敗するのではないか。すでに自前でコンテンツを持っている人が定額課金を考える場合は、もうちょっと楽だと思うけど、それでもペイするだけの初期ダウンロード数を確保できないのならば、やはり大した違いはでないのではないかと思う。

やっぱ国外出ようぜ
というように、スケール的な限界がある以上、アプリ内課金で利益を上げるには、前提として北米市場である程度のユーザーを確保しなければ話にならない。ところが、北米市場で2〜3万本以上売り上げた国産アプリなど、数えるほどしかない。つまり結論としては、アプリ内課金をやってる暇があったら、それ以前に海外で販売できる力をつけることに専念すべきではないかと思うのだ。

どうせ日本なんてあと10年ぐらいで二流〜三流国家に転落するのだから、体力のある今のうちに韓国とかフィンランドの国際展開のノウハウ盗んで頑張った方がいいんじゃないかと。国際展開、韓国やフィンランドにできて日本にできない理由もないんじゃないかな。

新しいiPhoneは何をもたらすのか?

2009 年 6 月 10 日 水曜日

ASCII.jp: 開発者が見る、ここがスゴいぞ新iPhone

WWDC基調講演をうけての新iPhoneについてのコメントを、ASCII.jpに寄稿いたしました。他の6人の識者の方々とは、僕だけちょっと注目点浮いてるwwwww。都市情報デザイン→工業デザイン→flashとか、バックグラウンドがヘンテコだからかな。 アプリ内課金は別に新しい概念でもないので、まったく萌えなかった。

以下 ASCII.jpの許可を得ての僕の寄稿文の転載と、字数的にASCIIに書けなかった、補足と今後の分析を少々。

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注目ポイント: 外部機器との連携

 プッシュ通知機能やアプリ内課金も魅力ですが、iPhoneをいちばん面白くするのは外部デバイスとの連携が解禁されたことだと思います。

 iPhone OS 3.0では、Dockコネクタによる接続か、Bluetoothによって、外部のハードウェアとデータをやりとりできるようになります。この拡張は、 iPhoneを2種類の方向に劇的に進化させるでしょう。ひとつは、iPhoneの利便性をハードウェアが拡張する方向。もうひとつは、逆にiPhone があらゆるハードウェアを拡張する方向です。

 前者としては、iPhoneの持っていない機能、例えば温度や水圧の感知といった特殊なセンサーなども、今後はデバイスにより自由に拡張できるようになります。

 これはiPhoneの進化のコンセプトとして、とても優れていると思います。というのも、iPhone本体のシンプルさを保ちながら、病院やダイビングなど用途に応じて、iPhoneを高度にカスタマイズできるからです。例えば、赤外線を発するデバイスを追加するだけで、iPhoneが電化製品の大半を制御できる万能リモコンになるわけです。

 後者のハードウェアを拡張させるという点については、iPhoneの操作性と利便性があらゆるデバイスを拡張する、という考え方です。例えば予算の関係でCPUが足りないようなガジェットであっても、Bluetoothさえ積んでおけば、iPhoneのマシンリソースとして扱い、iPhone側で複雑な処理を行なって、その計算結果を受け取ることができます。

 安物の電子楽器とiPhoneを接続することで、扱える音色やエフェクトを大幅に拡張したり、録音/編集機能を追加することが可能になるわけです。今後の電子機器は、旧世代だったり低予算だったりで機能的に限界があっても、通信仕様さえ決めておけば、iPhone側でソフトウェア的に機能を拡張できるでしょう。これはとても面白いコンセプトだと思います。

 iPhoneと外部デバイスの通信は、電子機器にとって新しいコンセプトをもたらすと思います。ハードウェアとソフトウェアがより分離し、Amazon APIのようなウェブサービスやマッシュアップといった概念が、デバイスレベルに降りてくるわけです。

 機能と設計をシンプルにし、仕様をしっかり公開さえすれば、電子機器はユーザーの用途に応じて無限のカスタマイズと進化ができる、というのはとても面白いと思います。このような概念が普及していくと、既存の家電が抱えていた問題点──アレもコレもと機能をゴテゴテと追加する風潮に一石が投じられるのではないかと思います。

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追記/補足部分

僕のApple観、iPhone観というのはそれぞれ、4年前2年前に書いたエントリーから基本的にズレていない。 まぁ戦術レベルのずれはあるけど、ありがたいことに大戦略レベルでの予想は1mmもずれないで当たった。 ようやっと数年前にしこんだエントリーに時代が追いついてきた。

しかしi-podもituneもインターネットの手前の、グーグルを介さない「あちら側」へ扉でとなりうる。そしてアップルはそのゲートウェイの使用を自分以外にの誰にも許可していない。「こちら側」にバイパスを設けつつ「あちら側」を支配する、それがアップルの戦略なのではないのかなと思う。via アップルの本質は「あちら側」ではないのか?

で結論としては、「iPhoneは携帯でも音楽プレイヤーでもない」という考えに帰結した。

タッチスクリーンという仕組みの本質は大画面の手段でも、カッコよさでもない。むしろUIとしては不便な部類に属するデバイスである。その唯一の利点は、あらゆるタイプのインターフェースを、1つのデバイスで実現できるということだ。 via iPhoneは携帯でも音楽プレイヤーでもないし、Appleは家電屋じゃあない


ここまでくれば、あとの未来もそれなりの確度で断言できるかと。「時代がマイノリティリポート系のUIと脳波系に進化しない」と仮定するならば、iPhoneの進化の選択肢はそう広くはない。

iPhone自体は時代に比べて比較的ロースペックというスタンスを保ちながら、IDと万能リモコン、万能ハブというポジションに専念するのではないかと思う。

iPhoneはあくまで入出力機器に徹し、複雑な処理はネットワークや最寄りのPCにリクエストを出して結果を受け取る。wifi圏内に適切な対応デバイスがあれば、一覧をダイナミックに取得しUIをロード、独立したデバイスとデバイスをシチュエーションにあわせて組み合わせて制御する、マッシュアップのハブみたいなものになっていくだろう、と考えている。

理詰めで考えると、ほかにiPhoneの落としどころってあまりないと思うんですが、どうなんでしょうね? 当たるかどうかは、また3〜4年後ぐらいに。

何故ガラパゴスがよろしくないのか?

2008 年 9 月 25 日 木曜日

ガラパゴス化が進む日本のウェブ
なぁ、日本が独自のことをするとガラパゴスと呼んで、アメリカが独自のことをするとグローバルと言うのはやめないか?

はてな界隈で、日本ガラパゴス論が流行っているのだけど、はてぶのコメ欄とかを見ていると、日本ヤバイとか日本をバカにするなとか、ポジショントークというか脊椎反射というか、表面的な事象に対する意見が多くないかと思う。
今の時代、ガラパゴス化は同考えても合理的な戦略のわけないと思うのだけど…

そもそもガラパゴス化と技術や様式の成熟は両立する事象である。閉鎖された環境での特化した技術の爆発的な進化は、それほど珍しくない。だから「日本の携帯文化は他国より優れているのだからガラパゴスとかいうな」、という考え方が間違っている。

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才能とか天才って言葉は嫌い

2008 年 5 月 10 日 土曜日

なんか、はてな界隈で天才論が流行ってるので、ちょっと乗ってみる。

天才とか才能っていうのは、個人的には好きなことばじゃないんだけど、そんなにコンプレックスを抱いたり、脅威や畏敬の念を感じなきゃならないもんなのかな、ってのを昔から思ってる。

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みんながパソコンから逃げ出してる

2008 年 1 月 29 日 火曜日

3年前ブログに、「アップルの本質は「あちら側」ではないのか?」というエントリを書いた。

簡単に要約すると、アップル、グーグルといったプレイヤーの主戦場は、単にネットのあちら側を争奪する戦いよりも大きなフレームで戦っているのではなか。そしてそのフレームとは、PCすら介さない「あちら側に繋がる直通経路」の争奪戦なのではないか?という内容だった。

ミクロなレベルでの予想は色々と外れているけど、今みてもマクロなフレームでの予想は当時考えた通りの展開になっていると思う。

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