iPhoneにおけるアプリ内課金は機能するのか??
2009 年 6 月 14 日 日曜日WWDCで最も日本の開発者がエキサイトしていた機能は、アプリ内課金だったと思う。
ただ僕個人としては、少なくとも現状の仕様のままでは、iPhoneにおいてアプリ内課金が成功するのはとても難しいと思う。もっとも僕自身は携帯業界の人間ではないので、定額課金に関しての見通しが甘いのかもしれないが。
現状のアプリ内課金が、成功しない理由は軽く考えても10個以上挙げられるのだが、その中でもっとも最初にぶつかる壁はスケールの問題だ。
予想以上に小さいスケール
国内のiPhoneアプリ市場の場合、メディアに露出している企業レベルの有料アプリでも、そのDL数は好意的に見て平均2000〜5000本ぐらいだろうと思っている。ヒット作で1万本。大ヒット作で5万本。というのが自分の認識だ。
話をわかりやすくする為に、ここでは115円で1万本売り上げの、それなりにヒットしたアプリで考えてみる。
1万本のアプリでのアプリ内課金の売り上げ
1万本のヒットアプリを作った場合で、その10%が定額課金に参加したとしても、1000ユーザーにすぎない。これに対し、350円の月額課金であったところで、月にたった50万円程度の収入だ。このスケールで定期的にコンテンツのアップデートを要求される定額課金コンテンツが運営できるか?というと疑問がある。
また切り売りの有料機能追加の場合も、10%が350円のお金を払っても(個人的にはもの凄い好意的な見積もりだ)、単に売り上げが115万円から150万円に変わるだけだ。売り上げ30%増というと魅力的に聞こえるが、実際には国内スケールの限界がある以上、単なるプラス35万円というのが現実だろう。
この程度の売り上げの変化では、はじめから230円で完全版をリリースし、6500人のターゲットを見据えるほうがよいように思える。なぜならば115円域を購入するユーザーよりも、高額のアプリを購入するユーザーのほうが、基本的にリテラシーも高いし、アプリの内容を理解し吟味して購入するからだ。6500人の理解あるユーザーをサポートするほうが、1万人のユーザーを扱うより楽であるし、また追加アップデートに関わる金銭トラブルのリスクを抱え込まなくてすむ。
iModeの文法は通じるのか?
多分、定額課金による収入増加を見込んでいるプレイヤーの大半は、携帯市場とくに公式アプリ出身のプレイヤーが多いのではないかと思う。しかしiModeの場合、絶対的なユーザー数と、公式アプリという保護政策によって定額課金は機能していた感が強い(自分という部外者が観測にすぎないが)。 ユーザー数が少なく、そのうえに50000本のアプリが並列に展開される、AppStoreにおいて、従来の携帯アプリでのアプローチがそのまま成功するかどうかは大きな疑問だ。
従来の携帯アプリをそのままiPhoneに移植したプレイヤーがほぼ全員敗走している以上、携帯アプリの課金モデルをそのままiPhoneに翻訳したアプリを作っても、また惨敗するのではないか。すでに自前でコンテンツを持っている人が定額課金を考える場合は、もうちょっと楽だと思うけど、それでもペイするだけの初期ダウンロード数を確保できないのならば、やはり大した違いはでないのではないかと思う。
やっぱ国外出ようぜ
というように、スケール的な限界がある以上、アプリ内課金で利益を上げるには、前提として北米市場である程度のユーザーを確保しなければ話にならない。ところが、北米市場で2〜3万本以上売り上げた国産アプリなど、数えるほどしかない。つまり結論としては、アプリ内課金をやってる暇があったら、それ以前に海外で販売できる力をつけることに専念すべきではないかと思うのだ。
どうせ日本なんてあと10年ぐらいで二流〜三流国家に転落するのだから、体力のある今のうちに韓国とかフィンランドの国際展開のノウハウ盗んで頑張った方がいいんじゃないかと。国際展開、韓国やフィンランドにできて日本にできない理由もないんじゃないかな。